半﨑美子『うた弁4 you』発売記念として、11月3日にラブソングベスト『三日月のセレナーデ』をリリースするレーベルの大先輩であるフォークの重鎮、南こうせつとのスペシャル対談が実現。オーディエンスが数人しかいなかったときのライブのエピソードなど、余すことなく語った対談では、2人の思わぬ共通点がどんどん浮き彫りになっていくなか、半﨑が涙ぐむ場面も…。ぜひとも最後まで読んでもらいたい。


取材・文 / 東條祥恵
撮影 / 三上信


ーーまずお二人の出会いから教えていただけますか?
半﨑美子:一番最初は<北の大地コンサート>(NHK総合TVでオンエアされた音楽特別番組)です。私がデビューした2017年ですね。その公開収録の現場でご挨拶をさせて頂き、そこで歌った「サクラ〜卒業できなかった君へ〜」をすごく褒めてくださったんですよ。

南こうせつ:イベントに出たときは出演者全員の歌を聴かないともったいない気がしてずっと楽屋にはいないです。舞台の袖から観ていると、すごく楽しいし、勉強にもなるから。

半﨑:今年も<青春のグラフィティコンサート2023>や<〜さよなら中野サンプラザ音楽祭〜令和歌の祭典2023〜100年歌われるニューミュージック>でご一緒させて頂いたんですけど。そのときもずっと袖でライブを観てくださってて。ライブが終わると声をかけてくださる。ご自身の出番までいろいろ準備とかあるだろうと思うんですが、本当に最初から最後まで袖で観てくださってることに感動しまして。




ーーこうせつさん以外にこういうことをやってらっしゃるかたは?
半﨑:見たことないです。

:昔からなんとなくですね。観ているとハーモニー、歌の構成、ライブの進め方とかすごく勉強になるんです。僕はフォーク世代ですから、ザ・フォーク・クルセダーズから始まって。(井上)陽水が歌ったり、(吉田)拓郎が歌ったり、高田渡が歌ったり。それぞれみんな胸に刺さるんですよ。そういうなかでイルカさんが歌ったり(森山)良子さんが歌ったりすると、それもまた素敵な歌なんですよ。なので、そこはいまも変わらず、ずっと観てますね。

半﨑:そこで吸収したものがこうせつさんのなかで育まれていく訳ですか?

:うん。あの人はこう表現してこういう風にライブをしてたけど、僕は違うなと参考になったこともありましたけど。その前に、みんなの歌が素敵だなというだけ(笑顔)。もったいないじゃん。観ないと。素晴らしいアーティスト、ともに時代を生きてるアーティストを観ないと。

半﨑:それを同世代だけではなく若手も観てらっしゃるところが素敵だなと思うんです。




ーーその若手のなかに半﨑さんもいらっしゃった訳ですね。
:半﨑さんはね、まずショッピングモールで歌ってるというのが気になって。


ーー半﨑さんといえば、いまや“ショッピングモールの歌姫”というのが肩書きですから。
:例えばアマチュア時代のゆずのように道端で歌ってるのとは違って、ショッピングモールで歌っている人ってどんな人なんだろう。と思っていたから観て見たいと思ってたの。

半﨑:そうだったんですね。

:ショッピングモールでしょ? 買い物目的に来た人々や子供連れで涼みに来ている人たちを前にして、歌を歌いかける。無視されることも覚悟して歌う。そういう歌い手さんは尊敬できますよ。僕は。

半﨑:こうせつさんにそのように言っていただけて光栄です。

:僕らもライブをやり始めた頃、渋谷とかのライブハウスでお客さんが7〜8人しかいない前でやってましたから。

半﨑:そういうときこそ、その環境を逆手にとって盛り上げていくようなことをやってらっしゃるイメージが、私はこうせつさんに対してあるんですが。

:好きなんですよ。もちろん満員の会場もいいんだよ? でもお客さんが少ないと、ちょっとニヤッてなるというか(笑)。その象徴的なのが浜松市民会館(現浜松市教育文化会館)のコンサート。あのときは加藤和彦さんとか、2〜3組が出演していて、僕らが最後だったんですね。いつものように袖から覗いてたら、お客さんが前列にちょろちょろちょろしかいなくて。僕らの出番になったとき「かぐや姫でーす」って元気よく出て行って。「最初にウチのメンバーを紹介します」って自己紹介をしたんですよ。それで「僕らの紹介は終わったんで、みなさんも一人ひとり自己紹介をしてって下さい」とお願いしたら、一番左から「〇〇町から来たXXです!」というのが始まって。


ーーえーっ!!(一同驚愕)
:いまだに忘れられないぐらい、すっごくいいコンサートになったんです。

半﨑:一体感が凄そう!!

:そう! もの凄い盛り上がったんだよ。楽しかったな、あれは。

半﨑:一見マイナスに思えるところをプラスに変換して、さらにそれをお客様にとってかけがえのない時間にできるって凄いですね。

:それはなぜかというと、例えば入場料がその当時は2000円だったとしよう。1500人収容の会場にお客さんが500人集まろうが10人集まろうが同じなんですよ。我々が2000円以上のものを提供しなければいけないというのは。何人入ろうが関係ない。歌うときは、お客さんは1万人だろうが10万人だろうが1対1だから。それは、ずっと思ってます。




ーー歌うときは1対1というのは、半﨑さんが歌に臨むときのアティテュードにも通じている部分だと思うのですが。
半﨑:まさに同感です。大きなショッピングモールで座席はいっぱいあるのに、お客様は2人だけ。しかも、おじいちゃんとワンちゃんだけということもありましたから。

:わはははっ。

半﨑:でも、私もこうせつさんと同じように、そういうときこそ、これだけ誰もいないなか、よくぞ最後まで私の歌を聴いて下さったという気持ちになるんですね。歌うときは1対1というのは私も思っていて。だからこそ、そのときの出会いが忘れられないものになって、またそこのショッピングモールに歌いに行きたいと思うようになるんです。

:あぁ〜、そうなんだ。プロになってお客さんが入らないというのは、自分も凹むんですよ。

半﨑:そうですね。

:プロとしてのシンガー・ソングライターとしてのプライドが傷つくの。でも、傷ついても歌うのよ。1人でも2人でもお客さんが来てくれてるんだから。

半﨑:本当にそう……泣けます(といったあと、涙が溢れ出す)。でも、本当に私もそう思います。

:だって、歌が好きっていうところで考えると、1人でもオーディエンスの前で歌えるというだけで幸せなことじゃない? 

半﨑:(うなずきながら涙声で)そうですね。

:いっぱいだろうが半分だろうが、オーディエンスの前で歌えるってことが幸せなの。




ーーその歌える場所として半﨑さんは。
:ショッピングモールを見つけたんだね。そりゃあ誰だってイベンターがいて、チケット売り出したら即完して、オーディエンスで満員になったホールで歌うのが一番気持ちいいよ。それは分かってるんだけれどもね。そこで動員が落ちて、お客さんが半分になったとしたら1度は萎えるよ。萎えるけれども、歌えるんだから。それはありがたく1曲1曲、歌をお届けしないと。


ーー半﨑さんはプロになって以降も、ショッピングモールで歌い続けてるんですよね?
半﨑:はい。2006年から歌っているので、今年で17年目ですかね。

:強いよ。いまも歌ってるというのは。

半﨑:ハートの強さは培われたと思います。ショッピングモールは先ほどこうせつさんがおっしゃっていたように、音楽を目的に来ている方はいらっしゃらないので、まず足を止めてもらう、席に座っていただくまでが難しいんですね。なので、インディーズ時代は1人で活動していたので、椅子の並べ方から通路の作り方、影アナを自分でやってからステージに上がるだけでも「何か始まるのかな?」と観てくださる方がいらっしゃるとか。1つ1つ研究しながらやってきたんです。立ち止まってもらえない、数人しか聴いてもらえなかったとしたら、そこで終わりではなく、じゃあそこからどうしていこうかというのを会場ごとにいろんなパターンでトライしていって。少しずつお客様が集まってくださるようになっていきました。

:うんうん。

半﨑:私自身北海道から上京してきたときは、音楽で自分を発信する。そのことだけをずっと考えていたので、主観でしか物事を見られていなかったんですね。けれども、ショッピングモールで歌うようになって以降は、どうしたらお客様に立ち止まってもらえるんだろうとか、自分自身を客観視できるようになっていって。主観ではなく、感じるとか受け取るという受信する力が自分にとって大事なものになっていったんですね。それが歌に繋がり、作る楽曲も上京した当時とは変わりました。

:ああー、そっか。


ーーショッピングモールこそが、半﨑さんが作る“人に寄り添う音楽”を教えてくれた場所といいますか。
半﨑: そうですね。だからプロになって「いまもショッピングモールを回っているの? 凄いですね」といわれるんですが、私にとっては生き甲斐の場所なんです。凄いとかではなく、本当にショッピングモールで歌いたくて、そこでお客様に出会いたくて歌っているという感覚なんです。

:なるほど。




ーーそんなお二人なのですが、じつはお互い最新アルバムのなかに半﨑さんは「途」、こうせつさんは「道」と表記は違いますが、それぞれ“みち”というタイトルの曲が収録されているんです。
:そうそうそうそう!

半﨑:偶然なんですけどね。

ーーまずは半﨑さん、アルバム『うた弁4you 』自体、どのようなコンセプトで制作した作品なのかを教えてもらえますか?
半﨑:はい。お手紙をテーマにしたアルバムなんですけど。これまでショッピングモールなどでお手紙を頂いてきて、頂いたものは全部自宅に保管しているんですね。

:凄いね。


ーーものすごい量なのではないですか?
半﨑:はい(笑)。分厚い手紙から付箋に書かれたものまでたくさんありまして。いつかお返事を書きたいなと思っていたところに『うた弁』シリーズが第4弾、フォーまできたので、あなたへ私からのお返事という気持ちで一通目、二通目とお手紙形式で制作したものが『うた弁4 you』です。


ーーその一通目となるアルバムリード曲「途」。こちらはどのような気持ちで作
られた楽曲なのでしょうか。

■半﨑美子「途」


半﨑:去年、立ち止まるということをテーマに『うた弁3』を作ったんですけれど。

:まだ途中という意味の途ですか?

半﨑:まさにそうです! コロナ禍で立ち止まるということを経験して。立ち止まっては歩き出すということが私たちの生きてきた道のりであると考えたとき、途中、一途の「途」にしたいと思ったんです。この曲は上京してきた当時の自分へのお手紙のような曲でもありますし。最近様々な学校に呼ばれて、学生さんたちに歌を届ける機会が増えたので、学生さんたちからも自分の将来について迷いを綴ったようなお手紙とかをよく頂くんですね。

:話の途中にごめんね。いまの若い人たちの楽曲、売れてる人たちの楽曲って、いまは恋愛というよりも自分が生きていく目的とか、自分はこの先どんな道があるんだろうとか、人との関わりはどうなるんだろうとか。そういうものが多いですよね。例えば僕らの時代の様な恋愛の歌は少ないですよね。

半﨑:そうですね。

:それぐらいみなさんが自分の将来の道について悩んだり、自分自身のことについても悩んだりしている社会なのかなって思いますね。そういう歌詞が多いってことは。


ーー半﨑さんの「途」もこの道でいいのかと悩んでいる人々に光を届けるようなエールソングになっていました。
半﨑:そうなってくれるといいなと願っています。いま現在いろんな失敗や大変なことがあったとしても、その続きがあるんです。そう考えると、この道はまだ途中の段階。どんなときでも未来に目を向けていれば、いまの大変な時期も後々ひっくり返すことができる。それを常に思いながら私自身も活動をしてきたので、そういう思いを込めたお手紙になっています。

:これ聴いて思ったんですけど、ゴスペルのようだね。教会音楽を聴いてるような感じがした。人の道を諭すような、あるいは人々の気持ちを楽にさせるような。それは詩もそうなんだけど、歌い方、メロディーがゴスペルのような気がしました。

半﨑:音楽プロデューサーの武部聡志さんもこの楽曲を編曲した際に同じようなお言葉をくださって。それでオルガンを入れたり。


ーーコーラスもゴスペル風のアレンジが入っていましたよね。
:そういう素養があったの? 北海道だよね?

半﨑:はい。R&Bやソウルも聴いてましたけど。

:北海道から北へその先にあるロシア、ウクライナ、ポーランドと続くスラブ系の人達の音楽にはブルーノートの音があまりないんだよ。なんとなく北海道のミュージシャンにはその傾向がある様な気がします。でも、半崎さんの曲はブルーノートを入れてますよね?

半﨑:はい。それは以前からですね。

:それは若い頃からR&Bとかを聴いてきた影響もあるだろうけど、それが体の中に入ってないと出てこないんです。ブルースはアフリカから奴隷でアメリカの南部に連れてこられた人たちから生まれたものだから、時代の流れと共に北海道の半崎さんの歌の中にゴスペルの響きを感じたのは新鮮でした。

半﨑:無意識でしたね。

:そして、ブルースの音階はないけれども「地球へ with Anointed mass choir」も、この曲と同じものが聴こえてきます。自分では気づかないかもしれないけど、自分がいま訴えたいことというのがでてますね。それが、ライブのときにポツンと歌ってたあの説得力なのかな。そういうものを感じました。

半﨑:ありがとうございます。このアルバムのなかでは、一通目の「途」と追伸の「地球へ〜」が自分の軸になっているものなので、こうせつさんに言っていただいたように、自分の思いの象徴がこの2曲には詰まっていると思います。

  


ーーそれでは、こうせつさんのラブソングベスト『三日月のセレナーデ』。こちらはどのようなコンセプトのアルバムなのでしょうか。
:LPレコード(アナログ盤)というのがまたブームになってきているので、僕がいままで50年間歌ってきた過去の作品のなかからラブソングを集めて、それをLPにしたのがこのアルバムです。やれ立ち上がれ、明日に向かって走れではなくて。そういうのを日頃やってた人が、ふと人生のなかで疲れて、椅子に座ってため息をついたとき。どこかから聴こえてくるラブソング。この年齢だからそういうものもいいかなと思って曲を集めました。


ーー今作の5曲目に収録された「道」はどのような意図で作られた曲だったのですか?

■南こうせつ「道」


:これは僕が世に出てきた「神田川」を作った喜多條忠の遺作ですから、入れようと思いました。

半﨑:厳かなピアノから始まる曲ですよね。

:そうですね。男と女が選んだわかれ道、それを“ふたり若かった 別れ道”っていうところで締めくくっているんだよね。


ーーそうして、ジャケットのアートワークにご本人が携わっているところも、お二人が共通しているところなのです。まず半﨑さんなのですが。今回はお弁当箱の中身がお弁当ではなくお手紙になりました。これ、CGではなくて、実際にお手紙を詰めてるんですよね?
半﨑:そうです。メッセージや想い、言葉というものは心の栄養という意味でお弁当箱のなかに今回はお手紙を詰めてみました。

:いまの手紙ではなく、SNSとかデジタルでやりとりをしている状況についてはどう思われてますか?

半﨑:じつは今回、私は改めて手紙の尊さ、かけがえのなさを伝えたいという思いもあったんです。手紙からどんどん離れていって、速さとか効率とか、人が待てなくなってきている時代だと思うんです。便利になって思いが早く伝えられるのは良いけれど、逆に今度は伝わらないこと、まだ返信がこないことに対して自分たちが縛られる。それは豊かではないなと思うんですよね。

:うん。豊かではないよね。

半﨑:お手紙って書くだけでも時間がかかる行為で、想いを巡らせながら、その書いている時間をプレゼントするような感覚もあると思うんです。

:だから、一般的には時代に反しているよね。

半﨑:はははっ。そうですね。でも、私はこうせつさんのLPで発売というのを聴いて、同じようなことをしていらっしゃると。

:それをいま僕もいおうとしてたの。お互い、時代とは真逆のことをしてるという(笑)。


ーーそこも共通していましたね。そうして、こうせつさんのジャケットは、こうせつさんの写真のバックの水彩画を自ら描かれたそうですが。
:そうなんです。「三日月のセレナーデ」という歌がありまして。ハープのイントロから始まる歌で、岡田冨美子さんの危ない2人が迷い込んだ歌詞の世界が大好きで。女性がいうんですよ。“つらい出来事 忘れられるなら 今夜 何度も 咲いて散りましょう”と。ここが一番僕がズシンときたところで。菩薩とかマリアの世界ですよね。

■南こうせつ「三日月のセレナーデ」


半﨑:あぁ〜。たしかに。

:ものすごく深い愛情と優しさと博愛の世界。救われますよね。男は。それで、新しい旅に出るの。それがどこなのかは分からないけど。


ーー大人の男女の歌ですね。
:そう。これをアルバムのタイトルにして。この曲のインスピレーションからこのジャケットの色が出来上がっていったんですよね。


ーーそうして、こうせつさんが手に持っているものは?
:花ですね。花が咲いて、そこにきた鳥が鳴いてるところが救いですよね。「よくこんな70歳過ぎたおいちゃんのところまで来てくれたな」って。

半﨑:はっはっはっ。そういうことだったんですね。

:そうなんですよ。でも、びっくりだね。お互い時代に反していたっていうところが。

半﨑:本当ですね(微笑)。


ーー思考の根本に似ているところがあるのかもしれないですね。
:じつは、半﨑さんが「地球へ〜」で歌われていること、まったく僕も同感なんですよ。世界中が効率だけが正義だっていう方向に進んでいって、本当に人として幸せになれるんだろうかというのは感じています。なぜかというと、我々人間は目に見える世界だけではないから。心とか魂があるからね。そのバランスを失ってしまうと、いまのような世界になっちゃうんですよね。人の幸せというのは心と肉体のバランスがいいことが大事。だから、半﨑さんのこの歌の世界は、ある意味メッセージソングなんだよね。我々の時代、フォークソングのメッセージソングはキツい言葉だったの。岡林信康さんが“私たちが望むものは 生きる苦しみではなく 私たちが望むものは 生きる喜びなのだ”(「私たちが望むものは」)と歌って体制批判をする。それがメッセージソングだといわれていたんだけど。「地球〜」は本当にメッセージソング。そう僕は思いますね。

■半﨑美子「地球へ with Anointed mass choir」


ーーこの曲は令和6年度の小学校5年生の音楽の教科書(教育芸術社)に掲載されることが決定してるんですよね?
半﨑:はい。ずっと言葉にしてあちこちでいい続けていたら、ついに長年の夢が叶いました。

:あら〜。それは素晴らしい!! ということは、教科書を審議する人たちの心にこの曲がとまったってことだよね?

半﨑:そうですね、とても有難いです。子供たちにもこのメッセージが届いてくれるといいなと思ってます。


ーーでは夢が叶った半﨑さん。今後こうせつさんとやってみたいことは何かありますか?
半﨑:楽曲を制作するというのをご一緒できたらなと、勝手ながら思っていまして。

:いやいや、それは光栄です。

半﨑:どんな風に曲を作られて、どのように歌っているのかなとか。こうせつさんの声は今回のアルバムを聴いてもそうですが力みがないんですよ。こうせつさんの声はまさに揺らぎが出ているので。

:でもね、アルバムを聴いて思ったんですけど、歌声にも共通点があって。半﨑さんも1/f(癒しの揺らぎ)が出てますよ。

半﨑:え! 本当ですか?

:出てます、出てます。あと、この「地球へ〜」という歌なんですけど、普段からこういう思いが自分の中にあったんですか?

半﨑:元々は本田美奈子.さんが生前に遺されていた「地球へ」という散文がありまして。美奈子.さんが所属していた事務所の社長さんに、いまも毎年開催されている追悼コンサート<LIVE FOR LIFE音楽彩〜>があるんですけど。そのイベントの最後に歌う曲を作って欲しいというご依頼がありました。他にもいくつか散文はあったんですが、私はこの「地球へ」に心惹かれて。美奈子.さんが、いまを予言するように私たちは地球の一部、細胞の一部であるということを明確に書かれていて。私はそれを受け取りながら、“地球を守ろう”という言葉にずっと違和感を感じていた自分の気持ちとリンクしました。「守る」ではなく、私たちのほうが生かされているんだと。それで、地球の声を聞くというのをテーマに虫の声や海の祈り、様々な声を自分自身が聞ける人でありたいと。そうしたら、いつか本田さんが願う地球との共生が叶うんじゃないかなと思ってこの曲を書きました。

:なるほど。それから、このアルバムを聴いてあと2つ凄いなと思ったことがあって。1つは<自然>を表現した言葉が多いんですよね。海とか山とか。

半﨑:そうですね。

:もう1つ<ともに>という言葉も多いの。

半﨑:このアルバム以外でも多いですね。

:それは半﨑さんが自分だけではなく、ともに喜びや悲しみを感じていきたいという表れで。それが僕は人間の本質だと思うんです。

半﨑:自分だけがよくても、なにも豊かにはならないというのは、コロナ禍の経験でよりメッセージとしてみんなが感じていたことだと思います。

:そう。要はみんなつながってるの。ウクライナのことがあって。子供が亡くなって泣いてるじいちゃんの映像を見てると、つながってるからこそ悲しいもんね。

半﨑:本当にそう思います。

:黙って見過ごせない何かがある。それが人間だよね。

半﨑:喜びを分かち合ったり苦しみを分かちもつということを、私自身も歌で担えたらと思っているんですけど。こうせつさんは1986年からから10年も<広島ピースコンサート>というチャリティーコンサートをやられていたり。昔からそういう音楽活動をされていらっしゃいますね。

:そうね。

半﨑:それは、いまおっしゃってたことと通じるなと思いました。

:僕はそれを「地球へ〜」にも感じました。

半﨑:ありがとうございます。


ーーそれでは最後に、今回の対談を終えて一言ずつお願いします。
半﨑:本当に光栄なお言葉をたくさんいただきました。そのなかで、勝手ながらいろいろな共通点を見つけられて。なかでもお互い手紙やレコードが持つ温もりを大切にできる。その気持ちを改めて大事にしながら活動していきたいなと感じました。

:我々が出てきた頃は、目に見えない縛りに対して、生きるとはこういうことなんだっと叫びながらフォークソングを歌ってたんだけど。意外とやってることは似てるよね(笑)。こんなに世代は違うのに。でも、これはとても嬉しいこと。だから、半﨑さんにはこれからも頑張って歌ってもらいたいなと思います。

半﨑:はい。今回はありがとうございました。





*************
<半崎美子 リリース情報>
Album「うた弁4 you」
2023年8月2日発売

各配信サイトはこちら


特別盤【CD+DVD】
CRCP-40666
¥5,500 (税抜価格 ¥5,000)


通常盤【CD】
CRCP-40667
定価:¥2,500 (税抜価格 ¥2,273)

【CD収録曲】 ※特別盤・通常盤 収録内容共通
一通目:途
二通目:雪の消印
三通目:この文字が乾く前に
四通目:大家さんと私のブルース~困った時はお互い様~
五通目:リンドウ
六通目:涙の記憶
七通目:星を伝って
追 伸:地球へ with Anointed mass choir
【DVD収録内容】 ※特別盤のみ
半崎美子「うた弁3」発売記念集大成ツアー2022
〜地球の歩み方〜5周まわって立ち止まる〜 @中野サンプラザ
1.帰途
2.空の青
3.色彩
4.タンチョウの夢
5.蜉蝣のうた
6.お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~
7.母へ
8.桔梗の咲く頃
9.地球へ
10.ロゼット~たんぽぽの詩~
11.赤色のヒーロー
12.道の上で
13.サクラ~卒業できなかった君へ~
14.足並み 
15.明日へ向かう人
EN1.あとがき
EN2.布石

<半﨑美子ライブ情報>
■半崎美子北海道ツアー2023〜往復書簡〜 札幌市
10月16日(月) 札幌カナモトホール
開場:18:00 / 開演:19:00
料金:¥5,000(税込・全席指定)
※未就学児の入場はご遠慮いただいております。
※車椅子の方はチケット発券後にオフィスキューお問い合わせフォームへご連絡下さい(席数に限りがございます)。
▼チケット
ローソンチケットのご購入はこちらから〈Lコード:11666〉

■12月2日(土)半崎美子 明日を拓くコンサート2023 @ 茨城公演
会場:神栖市文化センター
時間:開場/14:30〜 開演/15:00〜
チケット販売所:神栖市文化センター【0299-90-5511】

■12月16日(土) エアトリ presents 毎日がクリスマス 2023 (神奈川県)
出演:元ちとせ・半崎美子
時間:開場12:30 / 開演13:00
会場:横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
お問い合わせ:KMミュージック
TEL:045-201-9999(平日11:00~18:00)

■12月26日(火) 半崎美子 明日を拓くチャペルコンサート with 武部聡志
会場:グローリア・チャペル キリスト品川教会
開場/18:00〜 / 開演/19:00〜
お問合せ:サンライズプロモーション東京
0570-00-3337(平日12:00~15:00)


半﨑美子 Official HP
半﨑美子 公式X
半﨑美子 公式Facebook
半崎美子 各配信サイト


*************
<南こうせつ リリース情報>
Album「三日月のセレナーデ」
2023年11月3日発売

各配信サイトは
こちら


■アナログ盤
CRCJ-14
定価:¥5,500(税抜価格 ¥5,000)
【収録曲】
Side-A
1.君しかない(2014)
作詩:渡辺なつみ 作曲:南こうせつ 編曲:こうせつバンド
2.通り雨(1995)※
作詩:荒木とよひさ 作曲:南こうせつ 編曲:徳武弘文
3.神田川(1973)
作詩:喜多條忠 作曲:南こうせつ 編曲:木田高介
4.雪が降る日に(1973)
作詩:伊勢正三 作曲:南こうせつ 編曲:南こうせつ
5.道(2011)
作詩:喜多條忠 作曲:南こうせつ 編曲:南こうせつ
Side-B
1.夢一夜(1978)
作詩:阿木燿子 作曲:南こうせつ 編曲:石川鷹彦
2.風の竪琴(1983)※
作詩:松本隆 作曲:南こうせつ 編曲:水谷公生
3.恋のゆくえ(2003)
作詩:南育代 作曲:南こうせつ 編曲:河合徹三
4.Summer♪Angel(1995)※
作詩:松本一起 作曲:南こうせつ 編曲:徳武弘文
5.三日月のセレナーデ(1991)※
作詩:岡田冨美子 作曲:南こうせつ 編曲:斎藤毅


■Album
CRCP-20594
定価:¥3,300(税抜価格 ¥3,000)
【収録曲】
1.君しかない(2014)
作詩:渡辺なつみ 作曲:南こうせつ 編曲:こうせつバンド
2.通り雨(1995)※
作詩:荒木とよひさ 作曲:南こうせつ 編曲:徳武弘文
3.神田川(1973)
作詩:喜多條忠 作曲:南こうせつ 編曲:木田高介
4.雪が降る日に(1973)
作詩:伊勢正三 作曲:南こうせつ 編曲:南こうせつ
5.道(2011)
作詩:喜多條忠 作曲:南こうせつ 編曲:南こうせつ
6.夢一夜(1978)
作詩:阿木燿子 作曲:南こうせつ 編曲:石川鷹彦
7.風の竪琴(1983)※
作詩:松本隆 作曲:南こうせつ 編曲:水谷公生
8.恋のゆくえ(2003)
作詩:南育代 作曲:南こうせつ 編曲:河合徹三
9.Summer♪Angel(1995)※
作詩:松本一起 作曲:南こうせつ 編曲:徳武弘文
10.三日月のセレナーデ(1991)※
作詩:岡田冨美子 作曲:南こうせつ 編曲:斎藤毅
~ボーナス・トラック~
11.加茂の流れに(2001)
作詩:南こうせつ 作曲:南こうせつ 編曲:南こうせつ
12.春に想えば(2001)
作詩:南こうせつ 作曲:南こうせつ 編曲:南こうせつ
13.あの夏の二人(2019)
作詩:南育代 作曲:南こうせつ 編曲:南こうせつ


<南こうせつライブ情報>
■南こうせつコンサートツアー2023~夜明けの風~
10/22(日)
会場:埼玉県 三郷市文化会館
開場 16:30 / 開演 17:00

11/11(土)
会場:神奈川県 鎌倉芸術館
開場 16:30 / 開演 17:00

11/18(土)
会場:三重県 イスのサンケイホール鈴鹿(鈴鹿市民会館)
開場 16:30 / 開演 17:00

12/9(土)
会場:東京都 かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール
開場 16:30 / 開演 17:00

12/16(土)
会場:大阪府 NHK大阪ホール
開場 16:00 / 開演 17:00

12/23(土)
会場:愛知県 芸術劇場 大ホール
開場 16:00 / 開演 17:00


南こうせつ Official HP
南こうせつ 各配信サイト